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新生地の紹介(「CORDURA®500D Nylon6,6」)

前回のブログでは、ファニーバッグに使用している材料を一例として、みらい装備工房で使用している材料についてご紹介しました。
今回は、その材料の中でも今後更新する新しい生地「CORDURA®500D Nylon6,6」についてご紹介します。

生地の概要

新生地の生機(「INVISTA社製CORDURA®500D Nylon先染めTAN499」)

生機(染色や仕上げ加工をする前の生地)は、Nylon 6,6 CORDURA®フィラメントを使用しています。

このNylon 6,6 CORDURA®フィラメントは生糸状態からTAN499カラーとなっており、ソリューションダイという方法で、糸や衣類が完成する前の段階、つまり原料そのものを着色します。
また、ナイロン6,6を原料としているその耐久特性などから、ポリエステルのものよりも個人装備品に使用する生地として適していると考えています。

生機の状態で、米国国防総省が規定する装備品調達に係る詳細仕様の一つである「MIL-DTL-32439B Type 3 Class 3」に準拠するような工夫をしています。(※米国MIL-DTL-32439B Type 3 Class 3 に準拠した生地となっておりますが、米国内での認証試験は行っていません。)

Style A に適合してるため、生機がTAN499に染められており、裁断面と裏面も地色になります。
生地が擦れてプリントした色が落ちても地のTAN499の色が残ります。

糸にTAN499の色が染色されています。

その他さまざまな基準が示さています。
例えば引き裂き強度も示されており、経糸Warp(縦方向に並んでいる糸)が300lbs(ポンド、約136kg)、緯糸Filling(よこ糸)が225lbs(約102kg)を下限値としています。

その他機能、生産などについて

コーデュラ(CORDURA)とは

コーデュラ(CORDURA)は、アメリカのインビスタ(INVISTA)社が製造販売している素材で、正式には「CORDURA® fabric」と表記します。
コーデュラはどこの工場でも生産出来るものではなく、インビスタ社が認めた生地工場でしか生産することができません。

また、コーデュラブランドとして証明される商品には、「CORDURA® fabric」のライセンスタグが付けられていますが、「CORDURA® fabric」と表記されていても、Nylon 6,6 CORDURA®フィラメントを使用していない製品があることに注意が必要です。

新生地のコーティング

表面にはDWRコーティング(耐久撥水コート)が施されており、撥水性能が付加されています。
また、裏地にはポリウレタンコーティングが施され、生地の解れや織り目のよれなどに対して強度を向上しています。

新生地は、旧生地よりも生機から強度がありコーティングが薄くなったため、生地がしなやかなものになりました。

新生地の陸自迷彩カラー

今回のパターンは新たに製作したオリジナルとなっており、前回の生地と比較して茶系の色を強めにしています。
全体的に暗い色にすることで、より落ち着きのある風合いを出しています。

生地の生産について

日本国内ではテトロンを主体としたポリエステル系素材の生産技術は高度に構築されていますが、Nylon6,6 CORDURA®を生糸から生産する技術は限られています。
そのため、生機の生産および染色と加工はインビスタ社系列の韓国工場で生産し、インビスタジャパン合同会社様により管理検品したのち国内へ輸入しております。

※今回の生地の生産にあたっては、インビスタジャパン合同会社様、Textile Import合同会社(ショップ名「Sukerucom」)様に企画と調整をいただき実現しました。この場を借りて深く感謝申し上げます。

まとめ

今回のブログでは、新生地「CORDURA®500D Nylon6,6」についてご紹介してきました。
旧生地もナイロンを使用しており強度のあるものでしたが、新生地は正規なCORDUR®ブランドとなり、基本性能がさらに性能が向上しました。

しかし、最終的に製品にした時の機能・性能は、設計や生産工程も大きく影響します。
今回の新生地への移行によって、製品の更なる機能・性能の向上による発展を目指して参ります。