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みらい装備工房製品で使用する材料の紹介

ファニーバッグB

みらい装備工房では、使用する材料についてその使用場所・用途に応じて、引っ張りや引っ掛け、加重、摩擦、熱への強さや伸び、弾力、放熱などを検討して選択しています。

材料は、設計や加工と同じく、製品の性能を決定する上で重要な位置づけにあります。

今回は、みらい装備工房で製作する製品に使用している材料についてご紹介します。

 

みらい装備工房で使用する材料の種類

材料について、写真のファニーバッグを一例にご紹介します。

以下でご紹介する材料の番号をファニーバッグへ表示しています。

①「生地」

写真のファニーバッグは、新しく更新した生地を使用したものになります。

新しく更新した生地は、 INVISTA社製CORDUR®500D Nylon先染めTAN499 を使用した生地を使っており、原材料はナイロン66コーデュラフィラメントです。

生機(染色や仕上げ加工をする前の生地)はTAN499カラーであり、その上から陸自迷彩カラーをプリントした生地になります。そのため、生地の端の糸が白色などではなく、TAN499の色が出ています。

端のふさふさしているところがTAN499カラーになっています。

 

②「ウェビング」

こちらのウェビングもナイロン66コーデュラフィラメントを原材料としています。

ミルスペック55301規格で作られており、特殊な方法で織られているため日本国内では製造出来ません。従来の織り手法と違い、ウェビングが傷ついてもほつれにくくなっています。

TAN499カラー地の上に、陸自迷彩カラー3色(黒、茶、緑)をプリントしています。ウェビングが擦れてプリントが落ちたとしても、地の色が目立たないようにしています。

 

③「パラコード」

Mil-C-504 Type III規格のパラコードを使用しています。名前の通りパラシュートの一部にも使われるコードです。

見た目は細いながらも強度のある材料で、その強度の高さはパラコードの心材に使われているダイニーマが一端を担っています。
しかし、ダイニーマは摩擦や熱に弱いため、外側をナイロンで被覆することでその特徴を補っています。

 

④「ファスナー」

写真は、YKK USA社の8番相当止水ファスナーを使用しています。

ファスナーのスライダーがかむことで開閉を阻害することを防止する観点から止水ファスナーを使用しています。

さらに、止水ファスナーは張りがあるため、ファニーバッグの開口部の曲線の形状を維持することで開閉しやすくする観点でも止水ファスナーを使用しています。

 

⑤「バックル」

ITW社のポリアセタル樹脂製のバックルを使用しています。

ギリーテックスというITW社独自加工でnIR性能があります。
非常に強度のあるバックルで、普通車のタイヤで乗り上げた際には、破損によってその機能を損なうことはありませんでした。

 

⑥「面ファスナー」

ナイロン6を原材料とした面ファスナーを使っています。メス(ループ)側にはモヘアタイプを採用しています。

弊社ではベルクロ社とYKK社の面ファスナーを使用しており、様々なものを検討した結果、長期間使用後の面着性能低下が少ない特徴を考慮して使用しています。

 

ファニーバッグの内側です。

⑦「糸」

縫製に使用する糸はすべて米国A&E社製ナイロン66コーデュラフィラメントを使用しており、装備品に向いた縫い糸であると考えています。

しかし、縫製する上で癖があるため、みらい装備工房では下処理を行っています。
※過去ブログ(「機能毎に見るポリエステル糸(PET)とナイロン糸 ータクティカルギアを構成する繊維その3ー」)をご覧ください。

 

⑧「グログランテープ」

グログランテープは、パイピングテープとも言われます。
こちらもナイロン66コーデュラフィラメントから織られたものを使用しています。

グログランテープの使用には、生地の端の解れを予防することや製品の形状を維持するための張りを持たせることを考慮しています。

グログランテープの多用は、製品のごわつきや重量の増加などにつながるため、縫製の方法を工夫して、使用していないようにすることもあります。

 

⑨「エラスティック・ウェビング/コード」

エラスティック素材は、ゴムのように柔軟に伸縮します。
米国製および国内製エラスティックを使用しています。

芯材には非ラテックス系ゴムを使用し、表面保護布はポリエステル系となります。

 

終わりに

ファニーバッグに使用されている材料を一例として、様々なものをご紹介してきました。

他の多くの製品も同様の材料を使用しており、設計や縫製の方法と併せて、その製品の耐久性を向上させられるように製作しています。

日常でいろいろな縫製品をお手に取る機会がありましたら、材料についてもご覧いただいてお楽しみいただければと思います。

最後まで、記事をお読みくださりありがとうございました。