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背のう1型(バックパック)が出来るまで

背のう1型は、0.5DAYサイズのバックパックで、ハイドレーションを入れる用の物だと小さすぎて、1DAYサイズ以上になると大きすぎるという使用目的をお持ちの方向けのサイズになっています。装備を軽くして軽快な行動が求められる場面においてお使い頂くことを想定して、軽量かつ動きやすさを求めた設計にしています。

今回は、背のう1型が出来るまでをご紹介しながら、背のう1型の機能や制作時に留意していることなどに触れていきたいと思います。

 

大きく4つの部位に分けて制作していく背のう1型

背のう1型の切り出した生地が次の写真です。この状態から、背のう1型を縫製していくと、大きく分けて肩紐、背中面、表面、側面の4つの部位に出来上がっていきます。

尚、肩紐部分は、作ってある状態です。肩紐部分から作ってあるのは、用途の異なるミシンが複数台あり(どのようなミシンがあるかはこちらをご覧ください。)、それぞれを共用しているため、本縫いミシンだけで一つの部位を作りきることの出来る肩紐から作っています。工場のミシンには限りがあるので、ミシンの稼働状況によっては制作順を変えるアメーバ制作をしています。

切り出された部材です。ここから背のう1型の形に縫製していきます。

 

シンプルな構造にして軽量化した背中面部分

始めに作った肩紐の次は、背中面を作っています。背中側になる生地に3Dメッシュや取っ手、肩紐の取付け部分を縫い合わせています。メインコンパートメントの内側になる面には、背のう1型の形状を維持するためのプレートを入れている袋とメッシュの袋を作っています。背中側とメインコンパートメント側とを縫い合わせると写真のようになります。

背中側の部分に使用しているプレートは、プラ板を使用しており、いろいろな硬さの板を試した結果、柔らかすぎず、硬すぎずという硬さのプラ板を選んでいます。

 

トップ側とボトム側とに分けて制作している側面部分

背中面の次は、側面部分をトップ側とボトム側とに分けて制作しています。側面部分は、トップのウェビングやジッパーを縫い合わせるときの糸の締め付けで生地が伸び縮みし、さらに背中側と表側の間になるため、縫い合わせるのに調整する技術が必要になる部分です。

 

一番神経を使って縫製している表面部分

側面の次は表面部分の制作です。表面は、ヘルメットを入れるパネル部分を制作し、メインコンパートメントの正面部分と縫い合わせて作っていきます。背のう1型を制作する過程で、表面を作る時に一番神経を使う場面があります。ヘルメットを入れるパネル部分の天辺にある凹みです。普通に縫っていくと凹みがガタガタになるため、綺麗なカーブを出せるように一針一針、おさえを上げ下ろししながら向きを変えて縫っています。

ヘルメットを入れるパネル部分に付属するサブコンパートメントは立体になっていますが、天辺の凹みと比べて簡単に縫製出来ます。しかし、この形を出すために何処をどのように縫製するかは、何回も縫い直して今の縫い方になった場所で、縫製技術を伝えていくことが課題の場所の一つです。

 

表面・側面・背中面・肩紐を合体して完成

表面を縫い合わせると、表面部分と側面部分、背中面部分とを縫い合わせます。この最後の縫い合わせのときに、各部位の調節紐が長く、一緒に縫い合わせてしまいやすいので、ヘルメットを入れる部分に紐を纏めて入れて縫い合わせています。

合体した表面部分と側面部分を側面から見た場面です。

裏返してそれぞれの部分を縫い合わせて合体させていき、最後に裏返して肩紐を付けると背のう1型の形になります。最後にジッパーへのパラコードの取付けと、調節用のウェビングにエラスティックバンドを通して纏める作業をすると背のう1型の完成です。

この状態になると肩紐取り付けて、ジッパーへのパラコード付けとエラスティックバンド通しをして完成です。

背のう1型が完成するのには、作り慣れたスタッフが制作するのに1個で約半日かかります。どのようにして使いやすく耐久性がありデザインが良い製品を作るかという事と併せて、一つの製品をシンプルに縫製できるようにし、縫製ミスをなくしたり、分かりやすく技術を継承したり、製造時間を短縮したりするなどの課題があります。小規模の手縫い制作をしており製造に時間がかかりますが、より多くのお客様の元に、親しみを感じていただける耐久性と使いやすさをお届け出来るよう取り組んで参ります。